アトリエ天体工場

 
1993年。札幌市東区にあった”旧さっぽろビール工場跡地”が再開発され「サッポロ・ファクトリー」として生まれ変わりました。そのファクトリー内にできた小博物館が「天体工場」でした。1992年に、わたしが小惑星(4645)番に[Tentaikojo:天体工場]の名を提案。国際天文学連合はそれを学術名として世界に公表、名実ともに天体工場の名が宇宙に誕生したのです。地球の文明が続く限り未来永劫残る存在となりました。ところが、星がうまれるというコンセプトで人気を博しましたが、残念にも1997年に経営難から天体工場は閉鎖されてしまいます。
 このまま天体工場が人知れず宇宙の塵のように行方不明になってはかわいそうです。星を見つけ、新たな星の名を宇宙に刻む・・・という、わたしの観測活動の成果として、再びこの[天体工場]の名を復活させることができないかと考え、ここに”アトリエ天体工場”としてスタートさせました。
 星に名を刻む。新しい星を創造する。天体観測の過程で撮影された、宇宙や天体の膨大な写真を死蔵することなく、誰でも見て使えるように公開したのがこの天体写真ギャラリーです。

自分で星に名前をつけることはできるの?

 天体に自分の名前がついたり、自分で天体に新しい名前をつけられたらいいなあと思っている方は、たくさんいらっしゃると思います。新しい天体を発見すると、天体の種類によっては、それが可能になることがあります。
 まず、彗星が新しく発見された場合は、自動的に発見者の名前がつけられます。何人かがそれぞれ独立に(お互いの発見情報を知らずに)発見した場合には、発見した順番に3名までの名前が付けられます。例えば、1997年に地球に接近したヘール・ボップ彗星の場合には、最初にアメリカ人のアラン・ヘールさんが、続いて同じくアメリカ人のトーマス・ボップさんが同じ彗星を独立発見したので、それぞれの名前が順番につけられたわけです。
 新発見の小惑星の場合は、新しく発見されてから公転何周分かの観測がされ、軌道がはっきりすると、まず番号がつけられます。そして同時に、発見者に対して、その小惑星に名前を提案する権利が与えられます。名前は、「16文字以内であること」や「発音可能であること」「主に軍事活動や政治活動で知られている人や事件の名前をつける場合には、本人が亡くなったり事件が起こってから100年が経過していること」など、いくつかの制約はありますが、その範囲内で好きな名前をつけることができます。
 それ以外の場合として、天文学の研究で、ある特定の天体について輝かしい研究成果を残したりということがあれば、その天体が研究者の名前で呼ばれることはあります。しかし、それはかなり例外的な事例でしょう。
 最近、天体に名前をつける権利を商品化し、対価を請求する企業などもあるようです。これに対して、天体の命名をおこなっているIAU(国際天文学連合)は、「そうした手順で付けられた星の名は正式なものではなく、公式にはなんの効力もない。夜空の美しさは、すべての人が無料で享受すべきものである」という主旨の声明を出しています。
 原文(英語)も公開されていますので、興味のある方は国際天文学連合IAUのホームページをご覧ください。

国立天文台 よくある質問から引用