博物館 天体工場

 天体工場[てんたいこうじょう]は、札幌市に存在した小博物館。1993年に開館したが、数年後に閉鎖された。この名前は小惑星にもつけられている。

展示内容
 天体工場は、小博物館、あるいはミニ・テーマパークというべき施設で、宇宙空間の実際の天体ではなく物語的な意味での「天体」「星」をテーマとしていた。
 1993年、サッポロビールが同社札幌工場の跡地に建設した複合商業施設内「サッポロファクトリー」レンガ館2階に、全館のイメージシンボルとして「星を作る工場」というコンセプトで開設した。明治時代からの赤レンガ工場を利用し,かつそのイメージを拡大適用する形でつくられたサッポロファクトリー自体,比較的新しい施設でありながら「古きよき時代」という印象を感じさせるものとなっていた。
 サッポロビールのマークがそもそも「星」であり、そこに「ビール工場が天体をつくる工場として生まれ変わった」という意味を持たせて、独特の世界観を作り上げていた。メセナとしての意味も多分にあったのであろうが、10年経たないうちに閉ざされてしまった。なお、「開拓使 麦酒醸造所見学館」などの展示施設は現在も入場無料で運営されている。
 展示では、架空の人物「工場長」をキーとして、「天体図書館」「星座資料室」「記憶倉庫」「星造工房」の4つの展示室からなる空間演出を行っていた。星造工房の設備にはビール醸造の装置類がたくみに取り込まれて使用されており、別世界の雰囲気を醸し出していた。
 当初は有料だったが、後には入場無料となっていた。有料のコンテンツとしては、星空に関する内容を上映する「プラネシアター」や、誕生日から西洋占星術のホロスコープを利用して占う「天運解読機」、相性占いの「双運羅星盤」があり、またほかにも絵葉書などのグッズが販売されていた。
 演出を担当したのはイエローツーカンパニー(株)。同社サイトには当時の写真が掲載されている。

小惑星「天体工場」

 小惑星 登録番号4645 Tentaikojo。国際天文学連合によって学術名として世界に公表される。命名の提案者は札幌市の渡辺和郎。同じアマチュア天文家の藤井哲也氏と共同で発見した。この施設に因んで命名された。